外国人を初めて採用した企業の人事・総務担当者から、「入社後に何をすれば良いか分からない」「在留カードのコピーを取ったが、その後の管理は何もしていない」という声を聞くことがある。

外国人雇用は、採用した時点がスタートラインではなく、その後の在留管理が本題だ。在留資格の確認・届出・更新の一連の流れを整えておかないと、知らぬ間に不法就労状態が生じるリスクがある。

本記事では、外国人を初めて雇用する企業の担当者向けに、採用直後からやるべき在留資格の確認手順と、継続的な在留管理の整え方を実践的に解説する。

採用後すぐに行うべき:在留資格の確認3ステップ

ステップ①:在留カードの原本を確認する

採用が決まったら、入社前または入社当日に在留カードの原本を必ず確認する。「コピーを見た」ではなく、原本を目視で確認することが重要だ。確認すべき項目は以下の通りだ。

確認後は在留カードの両面コピーを取り、社内の従業員台帳に綴じて保管する。このコピーは社会保険・雇用保険の手続きにも必要になる場面がある。

ステップ②:在留資格と業務内容の整合を確認する

在留カードに記載された在留資格が、実際に担当させる業務と整合しているかどうかを確認することが次のステップだ。

例えば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、単純労働(製造ラインの補助・清掃・調理補助など)への従事は認められない。「特定技能」は認定された14分野の業務のみが就労可能だ。在留資格の種別によって就労できる業務の範囲が異なる点は、採用前から確認しておくべき内容だが、採用後に改めて整理しておくことも重要だ。

業務内容と在留資格が一致しているかどうかが不明な場合は、行政書士(申請取次)に確認することを推奨する。曖昧なまま就労を継続させると、企業側のリスクになる。

ステップ③:ハローワークへの雇用状況届出

外国人を雇用した場合、事業主はハローワーク(公共職業安定所)への届出が義務付けられている(外国人雇用状況の届出制度)。雇用開始日の翌月末日までに届出を行う必要がある。この届出を怠ると、30万円以下の罰金が科される可能性がある。

届出は雇用保険の資格取得届と一体で処理できる場合もあるが、雇用保険の加入条件(週20時間以上かつ31日以上の雇用見込み)を満たさない場合は、「外国人雇用状況届出書」を別途提出する。

在留管理の基本:採用後に整えておく仕組み

在留期限の一覧台帳を作る

複数の外国人スタッフを雇用している場合、個人ごとの在留期限・在留資格種別・更新申請の予定日を一覧で管理できる台帳を整備する。ExcelやGoogleスプレッドシートでも構わないが、以下の項目を最低限記録しておくことを推奨する。

この台帳は月1回など定期的に見直し、直近3〜6か月以内に期限を迎えるスタッフを洗い出す習慣をつけることが重要だ。

更新申請のリードタイムを理解する

在留期限の更新申請は、在留期限の3か月前から受け付けが開始される。申請後は審査期間が発生し(通常2週間〜数か月)、その間は「特例期間」として在留期限が切れていても合法的に就労を継続できる。ただし申請が遅れた場合、特例期間の適用を受けられず不法就労状態になるリスクがある。

✅ 更新申請の推奨タイムライン
在留期限の6か月前:担当行政書士へ相談 3か月前:申請書類の準備開始 2〜3か月前:申請提出 審査完了・新在留カード受領

特に複数名の外国人スタッフを雇用している企業は、年間を通じて申請が発生する可能性があるため、更新タイミングの分散が起こる。一人ひとりのスケジュールを把握し、早めに動き出すことがリスク対策の基本となる。

信頼できる申請取次行政書士との関係を築く

在留申請の書類作成・提出を代行できるのは、申請取次行政書士(または弁護士)だ。企業の人事・総務担当者自身が申請書類の内容を把握することは難しい場合も多く、更新のたびに行政書士を探し直すのは非効率で、引き継ぎミスのリスクもある。

できれば継続的に対応してくれる申請取次行政書士を一人確保し、担当社員の全案件を一元的に依頼できる体制を整えることが望ましい。信頼できる行政書士との継続的な関係は、企業の在留管理コストとリスクの両方を低減する。

よくある疑問:はじめての外国人雇用で詰まりやすいポイント

「特定技能」と「技術・人文知識・国際業務」の違いとは

外国人雇用で最もよく使われる在留資格は「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)と「特定技能」だ。

「技人国」は、大学・専門学校卒業以上の学歴や実務経験が求められ、就労できる業務は「技術・人文知識・国際業務に該当するホワイトカラー業務」に限定される。一方「特定技能1号」は、農業・飲食料品製造・外食業・建設・介護など14分野の現場業務に従事できる在留資格だ。雇用する業務内容に合った在留資格かどうかを採用時に確認することが不可欠だ。

転職・部署異動で在留資格の変更が必要になるケース

在職中に業務内容が変わる場合、現在の在留資格の範囲内で収まるかどうかを確認する必要がある。例えば「技人国」で採用した社員を現場の製造作業に異動させると、在留資格の範囲外の業務になる可能性がある。この場合は在留資格の変更申請(在留資格変更許可申請)が必要になる。

家族の帯同・社会保険の扱いは?

就労系の在留資格を持つ外国人は、一定の条件を満たせば配偶者や子どもを「家族滞在」の在留資格で日本に呼び寄せることができる。企業側が直接手続きするわけではないが、社員から相談を受けた際に適切な窓口(行政書士・入管局)に案内できるようにしておくと親切だ。

社会保険(健康保険・厚生年金)の加入義務は、日本人と同様に在留資格の有無に関わらず、要件を満たせば加入が義務付けられる。外国人だからといって免除にはならない点も確認しておきたい。

在留管理クラウドを活用した一元管理のすすめ

「Excel管理」の限界と在留管理クラウドのメリット

Excelやスプレッドシートでの管理は手軽に始められるが、更新アラートの自動化・複数担当者での共有・更新履歴の記録という観点では限界がある。担当者が変わる際の引き継ぎも属人的になりやすく、情報の漏れや更新忘れが生じるリスクがある。

在留管理クラウド ビザ顧問〈企業向け〉は、在留期限の自動アラート通知・情報の一元管理・提携申請取次行政書士との連携を、ツール利用料無料で提供している(在留申請の代行費用は企業と提携行政書士の直接契約による)。はじめて外国人を雇用した企業にとって、管理の仕組みを早い段階から整えるうえで活用しやすいサービスだ。

在留管理体制を整えるのは「今すぐ」が最善

在留管理の問題は、複数名の外国人スタッフを長期にわたって雇用するほど、管理の複雑さが増していく。1〜2人のうちから管理体制を整えておけば、人数が増えても同じ仕組みで対応できる。

「まだ1人しか雇っていないから後でいい」という考え方はリスクが高い。問題が起きてから対処するより、最初から整えておくほうが長期的なコストは低い。

まとめ:採用後の在留管理が外国人雇用の本丸

⚠️ 重要事項・役割分担のご説明

株式会社MRI(ビザ顧問運営)は行政書士・弁護士ではありません。在留申請の代理・書類作成・申請取次は行わず、実際の手続きは提携の申請取次行政書士が企業と直接契約して担います。在留資格の許可・不許可は審査機関の判断によるものであり、結果を保証するものではありません。ビザ顧問のツール利用は無料ですが、在留申請の代行費用は企業と提携行政書士の直接契約に基づき別途発生します。当社は現金の紹介料・謝礼の授受を行いません。

本記事のポイント

  1. 採用後すぐにやるべきことは在留カードの原本確認・業務との整合確認・ハローワーク届出の3ステップ。これらを怠ると企業リスクにつながる。
  2. 継続的な在留管理には在留期限の一覧台帳・更新3か月前アラート・申請取次行政書士との継続関係が必要。属人的な管理は担当者交代時にリスクを生む。
  3. 在留管理クラウドを早い段階から導入し、ツール利用料無料で管理体制を整えることが、長期的な外国人雇用リスクの低減に寄与する。

外国人雇用は採用で完結せず、その後の在留管理が長期にわたって続く業務だ。最初の1人を採用したタイミングで管理体制を整えておくことが、企業としての義務履行とリスク対策の第一歩となる。

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※本記事中の統計データは、厚生労働省・千葉労働局「外国人雇用状況の届出状況」に基づいています(各年10月末時点)。